重工業メーカーでの文系の仕事、「受注営業」と「工場営業」とは??

お疲れ様です、じぇいぴーです。(^^♪

私は新卒で入社した某重工業メーカーを2018年12月に退職しました。

まず、ゴリゴリの理系の業界に、文系として飛び込んだ理由についてはこちらをご覧ください。なぜ文系でメーカー、中でも重工メーカー勤務を選んだのか

結果的には辞める形を選んだのですが、入社したことに関しては正直一切悔いはありませんし、仕事内容自体も非常に勉強になることが沢山ありました。

まさに自分のキャリアとして意義のある数年間だったと思います。

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そんな重工業メーカーですが、文系の方で興味を持たれている方も中には沢山いるかとは思います。

一方で、

『文系って具体的にどんな仕事をしているの?』

っていう疑問を持たれている方も多いかと思います。

なので、本記事では文系職種の中でも興味を持たれる方が多い、

「営業」

の仕事内容をご紹介したいなと思います。

重工業メーカーでの文系職種について

まず文系職種の全体像をおさらいしましょう。

文系職種は大きく分けるとこんな感じです。

  • 企画
  • 管理
  • 法務
  • 営業
  • 経理
  • 財務
  • 資材
  • 総務
  • 人事

それぞれなんとなーく、仕事のイメージはつくかと思います。

多分ですが、一般的にメーカーと呼ばれるような会社では、どこにでもあるような職種かなと思います。

一方、重工業メーカーでは、「営業」といっても実は大きく分けて、「受注営業」と「工場営業」の2つの職種があるんです。

それぞれ、消費財のような「大量生産」しているメーカーとは違う、個別受注生産」をしている重工業メーカーならではの「営業」の仕事なりますので、今回具体的に分かりやすくお伝えできればと思います。

「受注営業」の仕事について

重工業メーカーでは、「営業」の職種は2つあるとお伝えしました。

まずは、1つ目に、「受注営業」の仕事内容をご説明しようと思います。

「受注営業」の仕事を、

  • 受注するまでの仕事
  • 受注したあとの仕事

で、整理していきたいと思います。

受注するまでの仕事

重工業メーカーの製品の多くは、大量生産するような製品ではなく、お客さんからの受注に応じて、1つ1つ製造していく「個別受注生産」になるため、受注をしないことには基本的に何もモノ作りはスタートしません。(一部例外はありますが)

受注してモノづくりができるようになるためには、受注営業がお客さんから受注を取ってくる必要があります。

顧客初回訪問

まず、新規・既存顧客に対して電話等でアポイントを取り付けるところからスタートです。

そこでお客さんの要望等をヒアリングします。

例えば、発電装置(電気を生み出す機械)の場合で考えてみると、お客さんから、

『今自社でコストダウンを考えている。○○電力(株)から購入している電気を、自分たちで発電設備を購入して、自家発電にした場合、どれくらいコストダウンになるのか興味がある』

『現在、自社工場内で消費している電気量としては、2,000Kw/hくらいである』

といった情報をヒアリングを通じて掴んで、次の機会に自社の商品提案活動につなげます。

採算検討

お客さんからのヒアリング結果をもとに、社内で採算検討を行います。

お客さんが○○電力(株)から買っている【1Kw/hの電気単価×電気消費量2,000Kw/h≒電気代】に対して、自社の発電装置で置き換えた場合、どれくらい電気代が安くなるのか、つまり採算比較した検討結果を次の訪問時に提案します。

自社製品の販売価格に加えて、製品納入後に必要となる維持コスト等を考慮して総合的に採算検討を行います。

詳細な仕様協議

コストダウンに繋がりそうな目途が立ち、お客さんの方で発電装置の導入を前向きに検討するようになると、詳細な仕様協議の段階に入っていきます。

簡単な例ですと、

『工場内のスペースがあまりとれないので、発電装置の建屋を2階建てにしてほしい』

といった形で、具体的にどのような製品を作っていくのか、つまり製品の仕様をお客さんと協議して詰めていきます。

「個別受注生産」の製品なので、お客さんの条件や要望に1番最適な製品になるように、丁寧に仕様を決めていきます。

この段階では、文系の「受注営業」だけでは話が進まないので、「営業技術」と呼ばれるような理系の社員が中心となって協議を重ねます。

見積対応・受注

そのようにして詳細な仕様が決まると、お客さんに対して見積書を提出する段階です。

「個別受注生産」ですので、当然仕様が固まらないと正確な見積が出せません。

仕様を基に、原価部門がモノづくりにかかる総コストを積算し、それに営業側で利益を積んで見積書を提出します。

価格が同意されると晴れて受注になります。

なお、このようなチームワーク(技術部門なしでは成立しない営業活動)で受注活動を進めていく営業スタイルのため、会社によるかもしれませんが、基本的にはノルマやインセンティブ等は一切ない仕事になります。

受注したあとの仕事

で、晴れて受注できれば「受注営業」の仕事が完全に終わりかと言うと、そうではありません。

受注してからモノ作りを開始して、実際にお客さんのものに納めるまで数年間掛かるような製品です。

その間に、納期調整や、最初に決めた仕様が変わる(仕様変更)が発生するのは日常茶飯事です。

ですが、基本的には営業活動の段階ではなく、「モノづくりの段階」ですので、お客さんとプロジェクトマネージャー(設計部門)が直接仕様変更に関するやり取りをして、製品の完成を目指していきます。

そして、仕様変更が発生した場合には、「受注営業」が原価部門にコスト積算の依頼をして、利益を乗せて、見積書を作成する形になります。

なので、仕事はあるものの、「受注営業」が中心で進めていく段階ではないです。

「工場営業」の仕事について

こちらの仕事は、個人的に凄くオススメです。

重工業メーカーでのキャリアを築いていく上で、やりがいがあって、勉強になることが沢山あります。

新卒で入社して、その時の初期配属が「工場営業」だったのですが、本当に良かったと思います。

「工場営業」の仕事を端的にお伝えすると、

「工場にいながら受注営業を補佐する」

「工場全体を取りまとめる旗振り役」

といったイメージです。

「工場営業」の仕事については、大きく

  1. モノの管理
  2. カネの管理

で、整理していきたいと思います。

モノの管理

モノの管理については多岐にわたりますので、それぞれ概要をご紹介したいと思います。

生産計画策定

「顧客A向けの製品を、いつまでに、どれくらい作る必要がある」といった生産計画を策定します。

「受注営業」からのヒアリングを通じて、最新の計画を策定していきます。

『生産計画って生産管理部とかの現場側で作るんじゃないの?』

と、思われる方もいるかもしれませんが、「工場営業」が立てる生産計画は、

『顧客A向けの製品を、いつまでに、どれくらい作る必要がある』

といった形での、生産要望計画であり、それを基に、生産計画部門に製造を依頼する形になります。

例えば、「受注営業」から最新情報をヒアリングし、『A機種を、2019年10月までに、2台生産する』といった計画を纏めます。

その計画から、生産計画部は納期を逆算して、詳細な製造工程を描き、実際のモノづくりを進めていく感じです。

生産管理部は基本的に「顧客A向けの製品を、いつまでに、どれくらい作る必要がある」といった顧客の最新状況は分かりません。

なので、顧客の最新の納期を「受注営業」からヒアリングして入手し、生産管理部につたえ、滞りなくモノづくりが進められるように調整を図るのが「工場営業」の担う役目です。

生産管理部と「受注営業」の橋渡しを行うイメージです。

『なぜ、受注営業が直接生産管理部とやり取りしないの?』

と思われる方も多いかと思います。

それは、

『受注営業全員、自分の担当顧客を優先してもらえるようにお願いするので、収拾がつかないため』

です。

仮に、2社の内、1社分しか同じ時期に製造できないといった場合、どちらかを諦めないといけなくなります。

そのような事業経営に関わる判断は生産管理部は業務上行えないので、「工場営業」がヒアリングを通じて判断して行く必要があります。

納期調整

上記の通り、未受注案件と受注案件の生産計画を策定したものの、その後、前倒しになったり、後ろ倒しになったりするケースは多々あります。

納期が後ろ倒しになる場合は、基本的には計画を後ろにずらすだけなので、そこまで大きな問題ではないのですが、前倒しになる場合は特に、

『調達部品の納期が間に合うのか』

を考慮しないといけないので、少し調整がやっかいです。

未受注の案件の場合を例に挙げて考えてみましょう。

生産計画では顧客の要求納期を2019年10月としていましたが、事情が変わり、2019年8月に、2か月間前倒しの要求が「受注営業」経由でお客さんからありました。

これを可能にしないと失注になる可能性もあるとのこと。

その場合、必要な調達部品が間に合うのかを、まず確認する必要があります。

「工場営業」が資材部に連絡し、サプライヤーに前倒しの可否を確認してもらいます。

もし、『どうしても納期前倒しが難しい』との回答があった場合、資材部と一緒にサプライヤーに交渉することもあります。

そうして何とか調達部品の納期を前倒しにし、その後、生産管理部に製造工程を見直してもらい、問題がなければ、「受注営業」に対して、『2019年8月納期で対応可能』と回答します。

このように、工場全体を取り纏め、受注に繋がるように「受注営業」をサポートしていくのも「工場営業」の仕事の1つです。

それに関連して、「受注営業」に対して、受注までのクロージングのスケジュールを管理するのも「工場営業」の重要な役割です。

例えば、先ほどの例の場合、2019年8月納品が可能なのは、2018年10月受注した場合(最短納期8か月間)の状況とします。

すると、ちゃんと2018年10月までに受注できるよう、定期的に「受注営業」に進捗確認を行い、クロージングを促します。

この際に、

『2018年10月以降に受注となった場合は、お客さん要望の2019年8月納品は不可能であること』

をちゃんと伝えておきます。

こんな感じで、「受注営業」の受注までのクロージング進捗を管理し、またズルズルと受注だけが遅れて、その分を工場でカバーすることのないように、「工場を守る」のも「工場営業」の役目です。

整理すると、受注に繋がるように「受注営業を守る」こともしますし、工場側だけが負担を負うことのないように、「工場を守る」ことも「工場営業」に課せられた役目です。

このような仕事ですので、

  • 「受注営業」と日々密に連携を取り合って最新の顧客状況を把握すること
  • 全体統括できるように、工場内の各部門(設計・生産管理、資材etc)と良好な関係を構築すること

が、「工場営業」に求められることかなと思います。

収益性・リスク検討

見積や受注金額が大きくなればなるほど、会社としては慎重な判断が要求されます。

例えば大赤字であったり、技術的なリスクがあったり、カントリーリスク等がある場合に、「受注営業」が勝手に見積を出していいわけではありません。

よって、「受注営業」が見積を提出したり受注したりする前に、必要な部門を招集し、収益性や技術的なリスクについて検討するのも「工場営業」の役目です。

例えば、

『発電装置を販売するときは赤字だけど、将来的なメンテナンス収益も併せることで、何年目にペイできるのか』

『複雑な仕様の製品だが問題はないのか』

といった感じで、収益性や、技術的なリスク等の様々な観点から検討を行い、「受注営業」が出す見積内容についての決裁を行います。

ですので、事業の経営者としての知見が養われます。

契約内容の確認

基本的には「受注営業」が契約書を作成するのですが、当然チェックする必要があります。

全体的な文言等は法務部門に当然確認してもらうとして、事業に関わる条項については特に「工場営業」でも細かくチェックします。

例えば、二次損害の論点であったり、製品保証であったり、予定損害遅延金であったり。

最終的に、自分の事業部門に跳ね返ってくるリスクの高い項目については特に、「工場営業」でも細かくチェックを入れます。

なので、「工場営業」として働いていると、法律の知識も身に着けることができます。

カネの管理

カネの管理も色々とありますので整理していきたいと思います。

短期経営計画の策定

「受注営業」では、事業部門全体の短期経営計画を策定します。

受注、販売、利益、入金計画を直近3年~4年程度を策定します。

「受注営業」からまずは、3年~4年間における各受注見込案件の進捗状況をヒアリングし、受注・販売計画を策定します。

それに基づき、適切な原価を反映して、利益計画を策定していきます。

予実管理

短期経営計画で策定した当年度の計画と、各月や四半期ごとでの実績差異を分析し、原因を纏めます。

例えば、計画上10億円の利益だった案件が8億円しか利益が出なかった場合に、▲2億円の原因を分析・調査して上司に報告を上げます。

また、利益が出ていない場合は、各関連部門を取りまとめてコストダウン活動を推進します。

この仕事を通じて、仮説力や分析力、説明力等を養うことができます。

月次・四半期・年度末決算

経理部門が最終的には仕訳を切ったりするのですが、それまでの作業を一部「工場営業」で行います。

最初に売上のエビデンスを「受注営業」から入手して、売上計上を行います。

その後は、未計上原価の積算を行ったり、誤った製造番号にコストが計上されている場合は費用の振替処理を行ったりします。

未計上原価とは、決算を迎える案件で、決算以降に一部費用の発生が予測されるものを、あらかじめ決算時点で費用認識するというものです。

また、個別受注生産をとっているので、各製品ごとに製番が付与されています。Aの製品の製番に誤ってBの製品のコストを計上していた場合、適切にコスト計上されるように、コストの振替処理を行ったりします。

決算時期は深夜12時頃に帰宅したりするハードな仕事です。

会計処理の検討

色々な案件の適切な会計処理をどうするのかを経理部門に確認しながら検討を進めていきます。

また、受注工事損失引当金の計上検討や、不良在庫の低価について検討したりします。

決算作業に併せて、この仕事でも会計に関わるので知識が自然と身につきます。

外注業者との協議

主要な外注業者との協定単価等についての取りまとめや交渉も「工場営業」が一部担っています。

外注業者の作業工数が低減できるように、社内の技術部門が協力をしており、その工数が下がった分を外注業者の協定単価から金額下げるように交渉したりします。

補助金監査対応

重工業メーカーでは国の補助金を用いて、実証試験を行う場合が多々あります。

その補助金に対して当然、コストが適切に計上されているのか、エビデンスを揃えて提出した上で監査を受ける必要があります。

そのような仕事も「工場営業」が担っています。

まとめ

ざーっと書きましたがいかがでしたでしょうか。

結構、重工業メーカーの営業に関する2つの職種「受注営業」と「工場営業」の具体的なイメージが湧いたのではないでしょうか。

特に、「工場営業」に関しては、工場に勤務しながらモノの管理と、カネの管理をすることで、事業全体を統括&俯瞰することで経営者としての視点を身に着けることができ、また法律や会計の知識も自然と身に着けることができます

重工業メーカーの文系職種の中では、面白い部署だと思いますので、是非!!

USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス

以上です、ご参考までに。(^^♪

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ABOUT US

別称コミカルおじさん。人を笑わせたり楽しませることが好き。M-1グランプリ2018/2019出場経験あり。世界55か国訪問。学生時代はヘルシンキ大学交換留学や、トルコで海外教育インターンシップに従事。某日系メーカーに勤務しながら、米国公認会計士(USCPA)を取得。2020年3月より一般社団法人(教育事業)の副代表理事としても活動中。